鍵職人という仕事が存在します。鍵師と呼ばれることもあります。職人というイメージのように、他の職人とされる仕事と同じで、いわゆる修行と同等な努力が欠かせない職業ということです。鍵職人と言われる人たちは、昔から日本にもいたわけですが、その人たちの多数は、鍵屋さんや鍵メーカーなどに勤めて、その会社で鍵職人としての知識を受け継ぎ、経験を積むという流れでした。
修行といえば、「習うより盗め」などという話を、ドラマや映画や本などで目にします。
職人は、それぞれについて丁寧には教えてくれず、職人の技を盗むようにするということが、昔からの日本の伝統と言えます。職人は無口だと思われがちです。また、その逆で、いつも厳しく怒鳴られたり、時には暴力といったことも、職人の上下関係としてイメージされます。
しかし、昔ながらの厳しい職人修行では、鍵職人になりたいと考える人も少なくなるのは必然です。また、そのようなことではいけないと思考する人が結構いるのです。
だから、近年はきちんと考えられたカリキュラムに沿って、鍵職人を育てる構造もできています。鍵職人の養成学校というものは、ネットで検索してみても、現在ではいくつか見つかります。無論、学校などには行かずに、鍵職人を目指すことも可能です。鍵の種類はどんどん増加していきますから、鍵職人は最新の鍵が開発されるたびに勉強をしなくてはいけないのです。
しかし、このように新しい知識を学ぶことというのは、どの仕事についても同じことです。
仕事だけではなく、人生も一生勉強なのです。学生のときだけ勉強をすればいいというものではありません。頻繁に新しい情報にアンテナを張り続ける必要性は、職業に関係はありません。むろん、自分はこのキーしか仕事しないと、いかにも職人のような姿勢でいてもいいのですが、それはそれに値する技術がある場合だけです。とは言え、そのような鍵職人としてのプライドを持っているのは素晴らしいことです。